28Nov2021A.寝癖アパルトメントで一緒に住み始めた翌日、アリスが目を覚ますと既にヘリオが起きており、朝食を作っていた。「あ、おはようございますヘリオさん」「おはよう」「起きるの早いですね」「あぁ、今日は予定が詰まってるからな」答えながら料理をしているヘリオに近づくと、あることに気がついた。ヘリオの...
27Nov2021A.小さな祝賀会白き一族の集落跡。開けたその場所に、足の低い簡易テーブルが置かれ、料理が並び始めていた。その場で作ったものではなく、持ち込まれたもの。それを準備しているのは、アリス、ヘリオ、ヴァル、ガウラの4人だった。「なんであたいがアリスの企画の為に料理を……」「アリス達も作ってきたんだから良...
26Nov2021A.物作りヘリオから珍しく「頼みがある」と言われたのは、夕食を共にしている時だった。何事かと思い話を聞くと、ジシャの家を作って欲しいとの事だった。「作れるか?」「普通のドールハウスを作るのとは違うけど、建設の基礎が分かれば作れるよ」「あまり、作ってるところを見たことが無かったから、どうなの...
21Nov2021V.ヴァルの護身術講座ラベンダーベッドにあるガウラ宅。その庭で護身術講座のために、ヴァルとガウラは立っていた。「さて、護身術を教える前に、男とはどういうものかを教えておこうか」「ほう」「まず、ナンパをしてくる男ってのは、自分に自信を持っていてプライドが高い奴だ。だから、ナンパを断ると意地になるし感情的...
20Nov2021V.台無しにされた約束朝から里に呼び出しをくらい、里に来たヴァル。族長の元へ向かい、何を言われるのかと思えば、そろそろ婿を取れという話だった。「それは、族長命令ですか?」「いや、1人の祖父としてだ」「はぁ……」大きく溜め息を吐くヴァル。「爺様、あたいは婿を取るつもりはないよ。行く行くは子を儲ける気はあ...
15Nov2021V.儀式の真相と、黒き一族の掟「ヴァル、話がある」ガウラにそう言われたのは、ナキに見つかり、3人で夕食を共にした次の日だった。朝食を食べ終え、食器を洗っていたヴァルは、ガウラの真剣な表情を見て何かを察した。「…直ぐに洗い物を終わらせる」手早く食器を洗い終え、ヴァルがガウラの対面に座ると、ガウラは口を開いた。「...
14Nov2021V.2輪の白い花と2羽の黒い蝶今日の用事が終わり、ラベンダーベッドへと向かっていたヴァルは、ふと足が止まった。白い髪に白い肌をしたヴィエラ族。そのヴィエラ族から香る香りは、甘い花の香りに柑橘系の香りが混じっていた。白き一族の混血児特有のエーテルの香りだった。恐らく、何処かにこの混血の担当が居るのだろう。そして...
09Nov2021番外編·恋心とは黒き一族の里。そこで、男が1人落ち着かない様子でウロウロしていた。彼の名はザナ。一族の中では実力はそこそこだが、護りの使命を持っていない。と言うのも、白き一族の血を持つ者の人数よりも、黒き一族の人数が多いせいであった。つまりは溢れ者。彼が使命を持つことがあるとすれば、使命を持って...
01Nov2021V.言葉の大切さと、使い方アリスの連絡を受けたガウラが、故郷の集落から帰宅した。何があったかを聞き、ガウラが眠りについた頃、ヴァルは腑に落ちない顔をしていた。同じ純血と証明され、事もあろうにヘラと同じ武力と魔力を兼ね備えた異例の存在だった事が、ヴァルには気に食わなかった。それに、魔力を持っていると知った時...