V.愛おしいと言う感情
ラベンダーベッドにあるガウラの個人宅。
その日は珍しく、家でのんびりと過ごしているガウラの姿があった。
とは言っても、何かしていないと落ち着かないのか、機械系のミニオンのメンテナンスをしている。
作業に一区切りがついた辺りで、両手を上に上げ大きく背伸びをする彼女に、ヴァルはコーヒーを運んだ。
「少し休憩したらどうだ?」
「ありがとう!そうさせてもらうよ」
礼を言い、運ばれてきたブラックコーヒーを口にする。
コーヒーのお供に、彼女の好物のアップルパイを出すと、子供のように目を輝かせ、幸せそうに口に運ぶ。
その姿が愛おしくて、思わず表情が緩む。
ガウラの隣に座り、自分用に用意したストレートティーを飲みながら、アップルパイを食べる。
パイを食べ終わり、食器を片付け終え、ヴァルが飲み物のおかわりを持ってくる。
そして、先程と同じようにガウラの隣に座ると、彼女が寄りかかるように肩に頭を預けた。
驚いてガウラを見ると、目線だけこちらに向け、口を開いた。
「なんだ?」
「いや、珍しいなと思って…」
「…私だって、たまには…な」
照れくさくなったのか、目線を外し、頬を少し赤らめながら、語尾が小さくなっていく。
「パートナーなんだから、いいだろっ!これくらい!」
最後はヤケになったのか、恥ずかしさを誤魔化すように言った。
それが、可愛くて仕方ない。
ヴァルは彼女の頭に、自分の顔を寄せた。
「あぁ。いくらでも甘えてくれて構わない」
そう言って、ヴァルはガウラの肩を抱いたのだった。
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