A.聖芒祭2022
イシュガルドに建設された冒険者居住区、エンペレアム。
アリスはヘリオを連れて、聖芒祭のイルミネーションを見るために来ていた。
イシュガルド由来の聖芒祭。
去年は、ヘリオがオールド·シャーレアンにいた事もあり、一緒に来れなかった為、本場の飾り付けを今年は一緒に見に行きたいと提案したのだった。
「やっぱ、本場なだけあって、街の風景とマッチしてるなぁ」
「そうだな」
エンピレアムの入口から大きなツリーとイルミネーション。
三都市と比べるとシンプルなのに、風景と相まって凄く綺麗だった。
そして、居住区の中央広場へと向かうと、見知った人物を見かけ、アリスは固まった。
アリスは慌ててヘリオを連れて引き返そうとした。
「おや?アリスにヘリオじゃないか!お前達も来ていたんだね!」
「あはは…義姉さん、奇遇ですね」
その人物とは、義姉であるガウラとそのパートナーのヴァルだった。
かなり気まずそうに苦笑いをするアリス。
恐らく、守護天節の一件のせいであろう、ヴァルの顔色を伺っていた。
「そこまで怯えなくてもいいだろう。今回は偶然同じところに来ただけなんだ。オレもそこまで心は狭くない」
「そ、そうですか」
ヴァルの言葉に少し安堵の表情を見せるアリス。
気を取り直してアリスは口を開いた。
「ヴァルさんと義姉さんもイルミネーションを見に来たんですか?」
「あぁ、去年は色々と準備に奔走していたからな」
たしかに、去年はオールド·シャーレアン行きの事もあって、結構バタバタしていた。
アリス自身も、聖芒祭はハウスにガウラとナキが来ていなかったら、ご馳走さえ口にしていなかったかもしれない。
「…っくしゅ!」
色々思い返して納得していると、くしゃみが出た。
いくら寒さ対策をしていても、顔の部分は寒さを諸に受ける。
「おい、大丈夫かい?」
「寒さ対策はしっかりしてるんで、大丈夫で……くしゅんっ!!」
ガウラの心配を他所に、再びのくしゃみ。
アリスの隣には、明らかに心配そうな視線を向けているヘリオが、アリスの腕を掴んだ。
「帰るぞ」
「え?!大丈夫だって!!」
「症状が軽いうちに帰って休め。あんたは風邪を拗らせると、すぐ高熱出すだろ」
「う"っ……」
ハッキリと言われ、ぐうの音も出ないアリスは、ガウラとヴァルに軽く挨拶をしてヘリオと帰宅した。
そして、風邪はと言うと珍しく高熱は出なかったものの、微熱を出した。
だが、この微熱が厄介なことに、なかなか下がらず、完治するまでかなりの日数がかかったのだった。
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