A.賢者は難しい
「ヘリオ~~~~~っ!!!」
アリスはルレから帰宅して早々に、半べそをかきながら、ヘリオに抱きついた。
「なっ?!なんだ突然!?」
突然のことに、驚くヘリオ。
アリスはヘリオを抱きしめたまま、鼻を啜りながら言った。
「俺、賢者向いてないぃ~!」
「はぁ?」
黒魔道士のレベリングが終わり、賢者のレベリングを始めたアリス。
話を聞くと、賢者のスキルが理解しにくく、ルレ中にフレンドを転がしたと言う。
「もう、全然スキルが分からなくてっ!回復しようとして間違えてバリアに切り替えちゃうし、もう訳わかんないよぉ~」
子供の様にグズグズと泣きながら語るアリスに、溜め息を吐きながらヘリオは答えた。
「まだ始めて1日目だろ。最初はそんなもんだ」
「うぅ~~~」
「ヒーラーは冷静さが必要だ。賢者は白魔と違って、回復よりバリアで攻撃を軽減させるのがメインだからな。そこを頭に入れて動かないと」
「それは分かってるけどぉ~」
尚もグズグズと泣いているアリスに、ヘリオは言った。
「まったく、仕方ないな。賢者のスキルを簡単に教える。基本さえ抑えれば、少しはマシになるはずだ」
「ヘリオ~、ありがとう~」
「……はぁ」
泣きながらお礼を言うアリスに、大きな溜め息を吐く。
「分かったら離してくれ。教えにくい」
「分かったぁ」
ようやく解放さたヘリオは、紙とペンを持ち、アリスに簡単にスキルの説明を始める。
それが終わると、アリスは「ありがとう!」と言って、庭で練習を始める。
だが、アリスには賢者が相当合っていないのか、ルレが終わる度に何かと問題点が露出し、泣きながら抱きつかれた。
こうして、アリスが賢者をカンストするまで、毎日説明をする日が続いたのだった。
0コメント