番外編.新式装備(コートリーラヴァーシリーズ)

「そんな……なんで……」


自宅の一室で、絶望している1人のヴィエラ族の男がいた。

彼の名はアルバーン。

アリスのフレンドで、オールラウンダーでありながら、ギャザクラもこなす冒険者だ。

彼が何故絶望しているかと言うと、新しく発表された新式装備を作り、ウキウキで着てみたら、想像とはかけ離れるほど似合っていなかったのだ。


「この僕が……、この可愛い僕が似合わないなんて……っ!!」


自分の容姿に自信を持ち、自己愛の強い彼に、この事実は耐えられなかったのだ。


「………ふっ…ふふふふふっ!こうなったら、あいつ等も道連れにしてやるっ!!」


アルバーンは目を血走らせながら4人分の新式装備を作り始めたのだった。



***************


「あれ?アルバーンさん!?」

「やあ!アリス!」

「突然どうしたんですか?今日、何か一緒の予定組んでましたっけ?」


彼の突然の訪問に、何か予定を忘れてるのかと慌てるアリス。

アリスの言葉に首を横に振り、満面の笑顔でアルバーンは口を開いた。


「いやね、新式装備を作ってきたからプレゼントしようかと思ってさ!」

「えっ!新式装備!?」


彼の言葉に驚く。

最近発表された新式装備は、デザインが人気で価格がなかなか下がらないと噂で聞いていたからだ。


「プレゼントって、今回の新式装備は価格下がらないって聞いてますけど?!」

「いいんだよ!君にはいつもお世話になってるからね!君にお義姉達を紹介してもらったお陰で、やりたいことがはかどってるし?」

「そ、そうですか…ありがとうございます」

「だから、君の分と、パートナーさん、お義姉さん達4人分作ってきたんだ」

「ええっ!?4人分もっ!?」

「あぁ!良かったら皆で着て見せて欲しいんだ!」

「わ、わかりました。義姉さん達に連絡しますね」


そう言って、アリスはガウラに連絡をとり、事情を説明し、ヴァルと一緒に来るように伝えた。

そのあと、ハウスの中に入り、ヘリオを連れて戻ってくると、ちょうどガウラ達も到着した。


「アルバーン、新式装備を作って来たって?」


ガウラの言葉に笑顔で頷く。


「ああ!日頃世話になってるからね!」

「いくらだい?」

「お金なんていらないよ!日頃の感謝なんだから」

「そうかい?じゃあ、ありがたくいただくよ!」

「どういたしまして!」


全員がお礼を言いながら、アルバーンから装備を受け取る。


「さあ!早速着てみてくれよ!」


アルバーンに促され、4人は一度アリスのハウスに入っていった。

しばらくして、最初に出てきたのはアリスとヴァルだった。

その姿にアルバーンは硬直した。

二人とも、新式装備が似合っていたのだ。


「なんか、今回の装備、可愛いですね…、だから値段下がらないのか」

「あたいの方はデザインはシンプル目だが、タンク装備の装飾は凄いな」

「ですよねぇ…可愛すぎるというか…」


なんて会話をしていると、再び扉が開いた。

そちらを見ると、顔だけ出して恥ずかしそうにしているガウラがいた。


「何やってるんだガウラ。早く出て来い」

「いやぁ…その…」


なかなか出てこないガウラを、ヴァルが無理矢理引っ張り出す。

そのデザインは、ヴァルと同じもので色違いだった。


「可愛すぎて恥ずかしいんだが…」

「義姉さん似合ってますよ!」

「あぁ、ガウラによく似合ってる」

「似合ってないって!!というか、アリス。お前は相変わらずそういうの似合うよなぁ」

「えぇ!?そんなことないですってっ!!」


似合う似合わないで口論を始める二人。

それを他所に、アルバーンは拳を握る。


(なんで…なんで3人共似合ってるんだっ!?)


頭の中で大きなショックを受けているアルバーンだったが、まだヘリオが残っていることを思い出す。


(待て、まだヘリオがいる!あんなクールな奴が、可愛いのが似合うはずがないっ!)


わずかな希望に口角が上がった時だった。


「ヘリオ!」


アリスの声にアルバーンは深呼吸をする。


(さあ!無様な姿を見せてもらおうかっ!!)


期待に胸を躍らせて顔を上げたアルバーン。


「………え」


視界に飛び込んだ光景に目を疑う。

それは他の3人も同じだったようで、無言で固まったままヘリオを見つめている。


「なんだ。全員呆けて」


それもそのはず、ヘリオの着たヒーラーの新式装備はタンク装備と同じぐらい装飾が凄く可愛らしいのだが、意外なことに物凄く似合っていたのだ。


「ヘリオ…凄く似合ってる…」


そう言ったアリスの顔は、頬を少し紅らめながら心ここにあらず状態。

ヴァルはあまりにヘリオが似合っているので、目を見開いたまま唖然としている。


「お前…ピンク似合うんだな…」


姉であるガウラも意外だったのか、驚いたままそう言った。

その反応で、ヘリオは恥ずかしさが込み上げたのか、顔を紅くした。


「似合ってないだろ」

「似合ってるってっ!俺ビックリしたもん!」

「私より似合ってるなんて…なんかムカつくな…」

「はぁ?!姉さん気は確かか?!」

「いや、似合ってるって!なぁ、アルバーンもそう思うだろ?!」


ガウラがアルバーンに声をかけると、皆が彼に注目する。

だが、彼は俯いてワナワナと震えていた。


「アルバーン?どうしたんだい?」


アルバーンの様子に心配そうに尋ねるガウラ。

すると、彼は絞り出すように言った。


「なんで…なんで皆、僕より似合ってるんだよぉぉおおおおおおおおおおっ!!!!」

「「「「え?」」」」


アルバーンの発言に4人の声が見事にハモる。


「この僕が似合わないのにっ、4人は似合うなんてっ!!!うわぁぁぁぁぁああああああああっ!!!!」


そう叫び、号泣しながら走り去っていくアルバーン。


「な、なんだったんだ…?」


誰かがそう呟き、4人は呆然としていた。


その後、自宅に帰宅したアルバーンは、異世界のペット、プーギーのミニオンを抱きしめ、枕を涙で濡らしていたという。






とある冒険者の手記

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