V.ミラプリで染められる

「ヴァル?」


コンコンと部屋をノックしながら、彼女の名前を呼ぶガウラ。

朝食後、片付けを終えたヴァルが部屋に戻ってから、珍しく長時間戻ってこないのを不思議に思ったガウラが、様子見に来たのだった。


「どうぞ」


中からそう言われ、ガウラが部屋に入ると、珍しく詩人の姿をした彼女がいた。

ヴァルは全身鏡と向かい合ったまま、口を開く。


「どうした?」

「いや、なかなか戻って来ないからどうしたのかと思って」


ガウラの言葉に、やっとヴァルは彼女に体を向けた。


「実はな、詩人の見た目を変えようと思って考えてたんだが、なかなか思いつかなくてな」

「そういや先日、アリスも悩んでたから手伝ったんだよなぁ。良かったら一緒に考えようか?」

「いいのか?」

「あぁ、構わないよ!イメージが固まってるなら、装備を考えやすいけど」

「それが、イメージが固まらなくてな。昔の仕事上、弓も使ってはいたが、頻度は少なかったからなぁ」


そう言って、ヴァルは再び鏡と向かい合う。


「アリスは故郷にいる時、狩りに弓を使ってたから、狩人かハンターのイメージでって言われてさ。割と直ぐに決まったんだよなぁ」

「ほう。なるほどな……」


ヴァルは考え込む。

なかなかイメージが思い浮かばず、眉間に皺が寄る程だ。


「例えば、詩人以外の職業でも弓を使ったりするだろ?そういう所から、自分のイメージと合いそうなものを考えてみるのはどうだい?」

「詩人以外で、自分に合いそうな弓使いか……」


ガウラの言葉で、ヴァルは弓使いの職業を考え始める。


「………弓部隊」

「兵士のかい?」

「あぁ。過去に弓部隊の中に紛れて、内部調査をしたことがある。一族の里でも、弓は狩りではなく戦闘なんかに使われてたしな」

「それで弓部隊か…、良いじゃないか!ヴァルにピッタリだ!じゃあ、今からイメージに合う装備を探しに行こう!」

「あぁ、よろしく頼む」


2人は出かける準備をして、颯爽と装備探しに向かった。


最初に向かったのはマケボ。

その中から、イメージに合いそうなのをガウラがあげていく。

これは?あれは?と次々に尋ね、それを見てヴァルが染色などを確認する。

だが、これだというものはなく、保留。

次に2人が向かったのはトライヨラのモブハン戦利品の交換所だった。


「んー、なんか良いのあった気がするんだよなぁ…」


世界を飛び回り、色んなことをしている彼女の記憶力は凄いものがあった。


「あー!あったあった!これはどうだい?」


そう言って、交換所のスタッフに出して貰ってきたのは、ネオキングダム·ディフェンダーダバードだった。


「デザインは良いな。染色箇所は……なるほど……。これがいい」

「よし来た!じゃあ、これをベースにして……、頭装備は同じネオキングダムシリーズのスカウト装備はどうだい?」

「あぁ、いい感じだな」

「じゃあ、これにしよう!」

「だが、モブハンの戦利品を持ってないから、リスキーモブを狩らないとだな」

「行ってくるかい?行くならその間に他の装備を見繕って来るけど?」

「頼めるか?」

「ああ!装備の見た目はトームストーンで送るよ!」

「助かる」


こうして、2人は別行動をすることになった。

ヴァルは各地のリスキーモブの手配書を受注し、狩りをする。

その間に、トームストーンにガウラから装備の情報が送られてくる。

それを確認して、組み合わせを見ながら装備を確定して行った。


武器はトロパイオス·ボウ、足は魔戒弓師の具足·陰。

こちらはウルヴズジェイルで交換できるので、モブハントが終えてから交換しに行った。

脚はクリスタリウム·レンジャーブリーチRFで、これは第一世界でしか交換出来ないので、ガウラが調達してくるとの事だった。

手装備は、既に持っているウェイファーラー·フィンガレスグローブに決まったので、そのままトライヨラに戻り、胴と頭装備を交換した。


スタッフから装備を受け取った直後、エタバンリングで第一世界からガウラが戻ってきた。

「おや、もう他の装備は揃ったのかい?」

「あぁ。それが第一世界の装備か?」


ガウラの持っている袋を指さす。


「そうだよ!」


ほらよと渡され、装備が全部揃うと、早速ヴァルはガウラと共にフォルアード・キャビンズに向かった。

装備を染色しながら、揃えた装備に着替えると、イメージ通りの弓部隊風に仕上がった。


「おおー!良いねぇ!」

「やはり、ガウラはセンスが良いな。あたい1人では出来ない組み合わせだ」


その言葉を聞き、ガウラはニンマリとした表情で言った。


「私好みに染めてやったぜ!」

「っ!?……ふふっ、染められてしまったな」


ヴァルは一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに嬉しそうな笑みを浮かべてそう返したのだった。

とある冒険者の手記

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