A.子守唄


ラベンダーベッドにある光の戦士が住むLハウス。
その日は、弟家族が遊びに来ていた。
家の主であるガウラは、ハープの弦の調律をし、弟ヘリオと義弟のアリスは他愛のない会話をし、その2人の家族であるリリンはソファに座り、本を読んでいた。

(これでよしっと)

弦の調律を終えたガウラは、音を確かめるためにハープで演奏を始めた。
その音色に、アリスとヘリオは会話を止めた。
その曲が、聞いたことのあるものだとアリスは気付いた。

(あ、この曲、昔母さんが歌ってくれた…)

懐かしくなり、思わずその唄を口ずさむ。
初めて聞くアリスの歌声に、ガウラとヘリオは驚いたように目を丸くする程、その歌声は優しく、透き通っていた。
曲が終わり、辺りに静寂が訪れる。
そこに、ゆっくりとした拍手が響く。
それにハッとしたアリスが音の方を振り向くと、優しい笑みを浮かべるヘリオの姿。

「あんた、唄上手いな」
「えっ!」

懐かしさにかられ、周りを気にせず唄っていた事に気づき、思わず恥ずかしくなるアリス。

「私も驚いたよ。お前がそんなに唄が上手いなんて」
「そ、そんなことないですよ!」

真っ赤になりながら否定する。

「お前、詩人になればいいのに」
「いやいやいや!俺、楽器演奏出来ないですもん!」

ガウラの言葉に慌てふためくアリス。

「勿体ないねぇ」
「いやいや!そんなことないですって!」
「お前の子守唄に効果があった人物がいるのにねぇ」
「…え?」

ガウラの視線を辿ると、さっきまでソファで本を読んでいたリリンが本を抱きしめながら眠りについていた。
その寝顔は、とても幸せそうな寝顔だった。



とある冒険者の手記

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