A.慌てるとろくな事がない


寂れた鉄の建物がそびえ立つ複製サレタ工場廃墟。義姉のガウラさんと、相方のヘリオと一緒に来た。
2人は既に攻略済、俺は初攻略と言うことで、2人に手伝って貰うことにしたのだ。
見慣れないギミック攻撃にてんやわんやしながら進み、辿り着いたエンゲルス戦でそれは起きた。
俺にマーカーが着いたのに気が付き、範囲攻撃だろうと外周に移動し、立ち止まった時だった。

「「アリスッ!!」」

ガウラさんとヘリオから同時に名前を呼ばれた。

「「止まるな走れ!!追従AoEだ!!」」
「うえっ!?」

慌てて走り出すと、さっきまでいたところに攻撃が飛んできて尻尾を掠めた。

「あっちぃーっ!!」

チリチリとしっぽが軽く焼ける音がするが、次から次に追従してくる攻撃に足を止めることが出来ず、逃げ惑う。

「うわわわわっ!!!!」

叫びながら直撃を避け、最後の攻撃を切り抜けた時、足がもつれて床をゴロゴロと転がった。
そして、慌てて尻尾を掴み、服の裾を使って火を消し、焼けた所を涙目でフーフーと息を吹きかける。

「何をボサっとしてるんだい!次の攻撃が来るよ!!」
「ふにゃっ!?」

ガウラさんの声に、俺は間抜けな声を上げ、慌てて縮地で安置に逃げ込んだ。
その後も、俺はヒーヒー言いながら進み、何とか攻略をした。
廃工場を出た後、白魔道士にチェンジし、尻尾にケアルを掛けた。

「アリス、お前は初めての場所に行く時、もう少し落ち着け」
「…面目無いです…」

ガウラさんにピシャリと言われて項垂れる。

「まぁまぁ姉さん、被害が尻尾だけで良かったじゃないか」
「ヘリオ、お前はアリスに甘すぎるんだよ」

そう言われて苦笑いをするヘリオ。
俺は尻尾にケアルをかけながら、今後の課題をどう解決するかを思案したのだった。



とある冒険者の手記

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