V.これからも続く関係


黒衣森の霧に包まれた場所の周辺。
その木の上から、ガウラとヘリオが霧の中に入っていくのを、ヴァルは見ていた。
霧の中にあるのは白き一族の集落跡。
ヴァルは儀式のやり直しのタイミングが来たのだと悟り、その場に待機した。
数日前、双子の会話を影で聞いていたヴァルは、霧の中の時間が歪んでいることを理解していた。
長丁場になる事を想定して、準備をしていたヴァルは、族長宛に報告書を書き、相棒の鷲ハヤテを飛ばした。
日数は1週間を越え、2週間目にさしかかろうと言う時、霧の中からガウラが姿を表した。
ヴァルはすかさずエーテルを確認する。
だが、そのエーテルはヴァルが予想していた状態とは違った。
エーテル自体は安定しているのに、量はそこまで増えていない。
不思議に思っていると、霧の中からヘリオも出てきた事に驚いた。
そして彼もまた、エーテルが安定していた。

─どういう事だ?儀式をしたのでは無いのか?─

疑問を抱えたまま、ガウラ達の後を追い、ガウラがラベンダーベッドに帰宅したのを見計らい、声をかけた。

「ガウラ」
「ヴァルか、どうしたんだい?」

振り向いたガウラは、これからヴァルが聞こうとしていることを悟っている様な表情だ。

「要件は察しているだろ。故郷で儀式をしたのではないのか?」

ヴァルの質問に、やっぱりかと言う顔をする。

「あぁ、儀式はしたさ」
「じゃあ、何故あいつが存在している」

ヴァルの言葉に、ガウラは故郷で起こったことを説明した。
唖然とするヴァル。

「過去がどうあれ、私は私だし、弟は弟だ。元は1人の人間だったとしても…な」

相手の選んだ道に、口出しする権利は自分には無いことを分かっているからこそ、何も言えない自分が歯痒くなるヴァル。

「それでヴァル、お前はどうするんだ?私はガウラとして生き、ヘラには戻らない」

ガウラが言わんとしていることを察するヴァル。
ヴァルの使命は[ヘラを守る]。
ヴァルはガウラを真っ直ぐ見据えた。

「名前が変わろうと、なんであろうと、私にとっては[ガウラ]が[ヘラ]である事には変わりない」
「そうかい」

ガウラは苦笑いをする。

「長い付き合いになりそうだね」
「当たり前だ。お前が天寿を全うするまで、地の果てでも追いかけて守り抜いてみせる」

それを聞いたガウラは「お互い頑固だな」と笑ったのだった。




とある冒険者の手記

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