A.準備期間
戦いの最中、それは起こった。
ボスの強攻撃。その狙いはガウラだった。
それに気付き、庇いに入ろうとしたヘリオ。
それよりも早く動いた人物がいた。
盾を構え、ガウラの前に飛び出し、その一撃を盾で受け止めたのは、他でもないアリスだった。
盾はギチギチと音を立てる。
「ヘリオ!!」
アリスの叫びに、ハッと我に返ったヘリオは、アリスに気を取られているボスに向かって走り出し、大剣を振るいトドメを刺した。
大きな音を立てて倒れるボス。
ホッとしたのか、その場に座り込むアリス。
「まさかお前に助けられるとはね。ありがとう。以前に比べると、だいぶナイトが様になってきたんじゃないかい?」
「ありがとうございます!まぁ、あと少し遅かったら、盾ごと貫かれてたかもですけど」
そう言ってアリスは盾を指さす。
盾には亀裂が入っており、壊れる寸前だった。
「やっぱ、装備をもっと強くしないとダメだな…これからの事を考えると」
真剣な顔で呟くアリスに、ガウラは首を傾げた。
「お前、メインは忍者だろ?無理にナイトの装備を鍛えなくても良いんじゃないのかい?」
ガウラの言葉に、アリスはガウラの方に顔を向けた。
「俺、ジョブをナイトに変えるんです。守りたいモノは自分で守れるようになりたくて」
「ほう」
「大事な人達を守って、自分も生き抜く。それを体現させるなら、俺にはナイトが合ってるかなって思って」
「まぁ、お前は盾がなきゃ体を盾にするからな。前に盾持ってても体を盾にしたことあったけど」
「そ、それは言わない約束でしょう!あの時は、まだナイトに慣れてなかったんですって!」
リリンのメンタルを荒療治した時のことを言われ、罰が悪くなるアリス。
「それにしても、ヘリオ。さっきはどうしたんだ?なんか躊躇してたみたいだけど?」
アリスに話を振られたヘリオは首を横に振る。
「あんたの動きに、少し驚いただけだ。少しは成長したんだなってな」
「へへ!ありがとう!」
褒められて照れるアリス。
そして、その場から立ち上がると、アリスは2人に向き直る。
「そうだ!2人はこれから予定あります?」
「私は無いよ」
「俺も特には…」
その答えに、アリスは表情を明るくした。
「じゃあ、今からガンゴッシュ行きましょう!レジスタンスウェポンの素材集め!」
アリスの言葉に一瞬"めんどくさい"と言う表情をした双子。
だが…
「仕方ないね。やる気がある内にやっとかないと、アリスはずっと放ったらかすからな。付き合ってやろうじゃないか!ヘリオ、お前も強制参加な!」
「はぁ…」
張り切るアリスに、やるからには気合を入れるガウラ、渋々ついて行くヘリオ。
こうして、テンションバラバラの3人は、ガンゴッシュへと向かったのだった。
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