A.カルテノー平原の激戦


アリスとヘリオの元に、双蛇党から戦いに参加するよう伝達があった。
場所はカルテノー平原。
今まさに、テンパード化した他種族と帝国兵がカルテノーに向かってきているとの事だった。
アシエンが絡んでいるとなると、必ずそこに暁の血盟の者達と一緒に、姉であるガウラも来る。
2人は身支度を整え、家を出ようとすると「お兄ちゃん!待って!」と声をかけられた。
振り向くと、そこにはリリン。
GCからの伝達書を握っていた。

「リリンちゃんにも来たんだ」
「うん!私も行く!」
「これまでの戦いと訳が違うよ?それでも行くかい?」
「…行くっ!私、ヒーラーだもん!みんなを助ける!」

リリンの強い意志に、アリスとヘリオは頷く。

「よしっ!行くぞ!」

3人は戦場、カルテノーへと向かった。


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カルテノーの戦いは、かなりの困難を極めた。
テンパード化を解く術が確立された事により、出来ることなら相手を生かして行動不能にしなければならなかった。
だが、相手はそんなのお構い無しにこちらの命を狙ってくる。
それと共に、魔道兵器も攻撃を仕掛けてくる為、かなりの激戦であった。
そんな中、周りの兵から声が上がった。

「暁の血盟と、英雄殿が来たぞ!」

その言葉に、周りの兵達の士気が一気に上がった。

「やっぱ、義姉さんは凄いな…、俺達も負けてられないっ!!」
「あぁ!」
「うんっ!!」

味方の軍勢の勢いが増す。
すると、突如現れる三本の紫色の光の柱。

「ば、蛮神が出たぞーっ!!!」
「何っ?!」

戦いながら、叫ばれる情報を聞く。
紫色の光の柱に、ルナオーディン、ルナラーヴァナ、ルナイフリートが現れたという。
現在、暁の血盟と英雄が蛮神と交戦中との事だった。

「ヘリオ!義姉さんの場所分かるかっ!?」
「恐らく中央だ!!」
「行こうっ!!」

3人は、交戦しながら中央の高台へと急いだ。


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ルナイフリートと対峙するガウラ。
今、ひとつの問題が発生していた。
ルナイフリートを追い詰めたはいいが、向こうも最後のあがきと言わんばかりに、霊獄の咆哮で炎の爆風を連続で起こしていた。
こんなに連続で爆風を起こされれば近づくに近づけない。
爆風に吹き飛ばされないように、踏ん張るので精一杯。
それはアルフィノとエスティニアンも同じの様だった。

「くそっ!最後の悪あがきかっ!!」
「相棒!このままじゃ、いつ結節点が破壊されてもおかしくないぞっ!!」
「分かってるっ!!」

そう言い合っていると、爆風が止んだ。
次の瞬間。

「ぐわあっ!!」
「アルフィノっ!?」

ルナイフリートがアルフィノ目掛けて突進。
まともにそれを喰らい、吹き飛ばされるアルフィノ。

「がはっ!!」
「エスティニアンっ!!」

間髪入れず、エスティニアンにも突進を喰らわすルナイフリート。
そして、次の標的は当然ガウラになった。
避けようと、咄嗟に身体が動くが間に合わない。
思わず目を瞑り、痛みと衝撃を覚悟した。

「ガウラッ!!」
「っ?!」

名前を叫ばれると同時に脇腹に衝撃が走り、浮遊感が襲う。
咄嗟に受身をとり、視線を先程まで居た場所に向けると、1人の不滅隊員が、ルナイフリートの突進を喰らっていた。
その弾みで不滅隊員の帽子が宙を舞う。
漆黒の髪に蒼いメッシュ。種族特有の耳。

「ヴァルっ!!」

それは、不滅隊員に変装したヴァルだった。
ヴァルは受身をとり、すぐさまガウラに向かって走り出した。
見れば、ルナイフリートがを炎を吐こうとしていた。
ガウラを抱きしめ、背中に炎を浴びるヴァル。

「ぐぅ…っ!!」
「ヴァルっ!!離せっ!!」

だが、ヴァルはガウラを離さない。
背に炎を浴び続け、それが止むとヴァルは片膝を地に着つけた。
ルナイフリートはお構い無しに次の攻撃の姿勢に入っている。
ガウラの中に、誰かを失う恐怖が蝕んでいく。
ガウラは、ルナイフリートとヴァルの間に立ちはだかる。

「…っ!?ガウラっ……何を…してる……っ!?」
「…………」

ガウラは答えない。
ルナイフリートが突進する。
ヴァルは気力を絞り出し、ガウラを蹴り飛ばす。

「ヴァルっ!!」

ルナイフリートがヴァルとぶつかるかと思われた次の瞬間だった。 

「ホーリースピリット!!」
「アンメンド!!」

魔法攻撃を受けて、ルナイフリートの軌道が反れ、直撃を免れる。

「義姉さんっ!!ヴァルさんっ!!」
「お姉ちゃん達!!」
「アリス!ヘリオ!それにリリンまで!?」

思わぬ人物の登場に驚くガウラ。

「姉さん、どういう状況だ」
「そこの光の柱、地脈の結節点を壊されたらアウトだ。ルナイフリートは最後の悪あがき中だ」
「分かった」

ガウラから状況を聞き、大剣を構えるヘリオ。
リリンはヴァルにベネディクションをかける。

「…助かる」
「うん!どういたしまして!」

ヴァルは小さく笑みを浮かべ礼を言う。
笑顔で答えるリリン。

「最後の悪あがきって事は、あと少しってことだな」
「あぁ」
「じゃあ、みんなでトドメを刺しましょう!」

全員がルナイフリートと対峙する。
いつの間にか、ガウラを蝕んでいた失う恐怖は無くなって、いつもの凛とした勇ましい表情戻っていた。

「リリン!結節点にも注意を!」
「うん!わかった!」

一斉にルナイフリートに攻撃を仕掛ける。
ヘリオが先陣を切り、その後をアリス、ヴァル、ガウラと続く。
リリンは結節点の近くで、4人をサポートする。
激しい攻防戦が繰り広げられる。
そして、ルナイフリートが大量の楔を出現させる。

「この数はヤバいぞ!」
「楔が堅いっ!!」

万事休すかと思われたその時。

「魔槍!ニーズヘッグ!!」

突如放たれた技で、楔が一瞬で消滅する。

「エスティニアン!無事なのかい?!」
「悪かったな相棒!この通り、回復が間に合った!」

その言葉に、ガウラはアルフィノの方を見ると、そこには見知った顔がアルフィノの治療をしていた。

「カル?!」
「ガウラさんっ!!こちらは任せてください!!」

トラウマを克服したカル。
ガウラの中で闘志が燃え上がる。

「恩に着る!一気に畳み掛けるよ!!」

ガウラの言葉に、全員が声を上げる。

「アリス!行くぞ!」
「はいっ!」

ヴァルの呼び掛けに、アリスは忍者にジョブチェンジし、2人で無限三段を繰り出し、終撃を喰らわす。
叫び暴れるルナイフリート。
ヘリオはガウラの元へと下がり、弓矢を構えているガウラにエーテルを送る。
それを合図に、リリンとエスティニアンもガウラにエーテルを送り始める。
弓矢にエーテルが宿る。
それを見たヴァルとアリスはルナイフリートから飛び降り、同時に戦士にジョブチェンジ。
ルナイフリートをホルムギャングで動きを封じた。
だが、ルナイフリートは最後の足掻きと言わんばかりに炎を吐いた。
そこに野戦治癒の陣とアサイラムが展開される。
快復したアルフィノと、テンパランスを発動させたカルからの援護だった。
弓矢がエーテルで光り輝く。

「「今だ!!」」
「喰らえぇぇぇええええええっ!!!」

ガウラの放ったエーテルの矢がルナイフリートの眉間を貫いた。
ルナイフリートは断末魔を上げ、光の粒子となって消えた。
その後、勝利の余韻に浸ることなく、一同は戦況を確認するべく走り出す。
上空にアシエン·ファダニエルの姿を見つけ、足を止めるガウラ。
ファダニエルは何かを呟き、消えていった。
その後、多くの犠牲が出て悔しがるアルフィノに、各種族の長から感謝の言葉を貰い、歩みを止めないと強く言葉にしたアルフィノ。

雲に隠れていた月が姿を現す。

それは、これから更なる激戦が開幕する予感がしたのだった。



とある冒険者の手記

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