A.白き蝶と黒き蝶は舞う


テンパード化した帝国兵の治療をしていたアリスは、外が騒がしい事に気がついた。
外に出てみると、そこにはガウラとユルスの姿があった。
いつの間に戻ってきたのだと思っていると、ユルスは剣を取り号令を掛けた。
現れる魔導アーマーにその場は騒然とするが、グランドカンパニー·エオルゼアから届いた伝令に、ユルスは戸惑い、そして戦意を喪失した。
そして、彼等の拠点から避難民が保護され、キャンプは忙しくなった。
アリスは出来た炊き出しを忙しなく配膳する。
それを受け取り、安堵する避難民。
彼等が保護を受け入れてくれた事が何より嬉しかった。
だが、それを打ち破るかのように、塔から発せられたエーテル。
それに呼応するかのように確保していたラジオから流れる音声。

「うわぁぁぁああ!!」

悲鳴を上げるユルス達含めるガレアン人達。
それはテンパード化をさせるエーテルの放出だった。
エーテルを浴び、暴れるガレアン人を取り押さえる為、その場は騒然となった。
取り押さえられたガレアン人は治療場へと運び込まれ、素早く治療を施される。
アリスもそれに加わり、慌ただしく治療をして回った。

騒動が落ち着つくと、あることに気がついた。

ガウラの姿が見えない。

一体何処に行ったのだろうと、暁のメンバーと話していると、外からこちらに向かって歩いてくるガウラの姿。
無事な姿にほっとしたが、アリスはある事に気がついた。

─いつもの香りがしない─

自分だけが分かるエーテルの香り。

それがしないと言うことは…

嫌な予感を感じながらヤ·シュトラの方を横目で見ると、彼女も違和感を感じているのか、怪訝な顔をしていた。
そして、その違和感に駆け寄って行ったグ·ラハとアリゼーも気が付いた。

「あんた、誰だ?」

グ·ラハがそう言い放つと、ガウラの姿をした何かは、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
咄嗟に武器を構えるグ·ラハとアリゼー。
その瞬間、おぞましさを感じる姿をした魔物が召還された。
[ソレ]は2人に襲いかかった。
その時、何処からか飛んできた片手剣が、[ソレ]に命中した。
武器が飛んできた方を見ると、そこには帝国兵の姿。

「ゼノス!!!」

帝国兵が叫ぶと、更に不気味な笑みを浮かべるガウラの姿をした何かに、体当たりをした。
そして、頭を抑えのたうち回る帝国兵。
ガウラの体に力が抜け、動かなくなると同時に帝国兵も動かなくなった。

「義姉さんっ!!」

慌ててガウラに駆け寄ると、嗅ぎ慣れた花の甘い香りがした。

「ちょっと!いつものガウラに戻ったか分からないのに、不用心に近づかない方が良いんじゃないの?!」

警戒をするアリゼーに、アリスは言った。

「大丈夫です。いつもの義姉さんに戻ってます」
「どうしてそんなことが分かるのよ?」
「俺には…分かるんです」

そして、規則正しい呼吸をしてる事を確認し、安堵したのだった。

そんなに時間がかからず目を覚ましたガウラ。
何があったのか状況を説明してもらい、彼女が見てきた塔の内部状況も聞くことが出来た。
情報を元に、イルサバード派遣団は作戦を立て、バブイルの塔を攻略し、アニマを討伐することとなった。
その作戦にアリスも参加。
襲いかかるテンパード化した帝国兵との激しい交戦。
戦っている者の中に、ヴァルの姿もあった。
そこに、別ルートから進んできたガウラの姿。

「義姉さん、ここは任せてください!」

共にアニマ討伐に加わりたかったが、増援を防ぐ事も彼女を護る事になると判断し、そう叫んだ。

「…生きて帰ってくるんだぞ」

そのガウラの言葉に、アリスの中の闘志に火がつく。
その時、背中に気配を感じた。

「怖気付いて無いだろうな?」
「まさか。その逆ですよ」

自分の後ろにいる人物にそう返す。

「ヴァルさん、後ろは任せます!!」
「言われなくてもっ!!」

2人は息の合った動きで、帝国兵をなぎ倒していく。
互いの動きが分かるからこそのコンビネーション。
その動きは、2羽の蝶が舞う様に華麗であった。



とある冒険者の手記

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