V.見た目以外の違い
「ただいま」
GCの任務からガウラの個人宅に戻ってきたヴァル。
いつもなら「おかえり」と返ってくる返事がない。
「ガウラはまだ帰ってきてないのか」
状況を把握し、そのまま二階にあるシャワー室へ向かい、汗を流す。
身軽な服装に着替えると、夕飯の準備を始めるためにキッチンへ。
手早く料理を作り、ガウラの帰りを待つだけとなった。
「少し休むか…」
連日GC任務で、多少なりとも疲労が蓄積していたヴァルは、フロアソファに横になり、軽く仮眠をとる為に目を瞑った。
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「ただいまー」
クリスタルコンフリクトから帰宅したガウラは、首を傾げた。
部屋に充満する料理の香り。
それはヴァルが先に帰宅している事を意味していた。
なのに返ってこない返事。
不思議に思い、部屋にヴァルの姿を探す。
「ヴァルー?」
キッチンに姿はない。
別の部屋を探そうとキッチンからリビングに向かい、階段の前に差し掛かり気づいた。
フロアソファで横になっているヴァルの姿。
物音をたてぬ様に近づくと、小さく寝息を立てていた。
その寝顔は、女性だった時と変わらない。
ガウラはヴァルの近くにそっと腰をおろした。
そして、投げ出されている手が目に留まり、そっとその手に触れた。
初めてベッドで一緒に眠った時に触れた手。
その時とは違う感触。
(しっかり男の手なんだな…)
ふと、そんなことを思った。
無意識に手をにぎにぎと触っていると、不意に声がした。
「掌のマッサージかい?」
「ふえっ?!」
声に驚き手を放し声の方を見ると、いつの間にか目を開けてこちらを見ているヴァル。
「お、起きてたのかい?」
「手に感触がしたから」
そう答えてヴァルは体を起こすと、軽く伸びをした。
手を握っていた事に気づかれ、気恥ずかしくなるガウラ。
その様子に小さく笑うヴァル。
「帰ってきたばかりか?」
「え?あ、あぁ」
「じゃあ、シャワー浴びてきな。夕飯温めとく」
「わかった」
そう促すと、ガウラはそそくさと二階へと上がって行ったのだった。
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