V.見た目以外の違い


「ただいま」


GCの任務からガウラの個人宅に戻ってきたヴァル。

いつもなら「おかえり」と返ってくる返事がない。


「ガウラはまだ帰ってきてないのか」


状況を把握し、そのまま二階にあるシャワー室へ向かい、汗を流す。

身軽な服装に着替えると、夕飯の準備を始めるためにキッチンへ。

手早く料理を作り、ガウラの帰りを待つだけとなった。


「少し休むか…」


連日GC任務で、多少なりとも疲労が蓄積していたヴァルは、フロアソファに横になり、軽く仮眠をとる為に目を瞑った。



*************



「ただいまー」


クリスタルコンフリクトから帰宅したガウラは、首を傾げた。

部屋に充満する料理の香り。

それはヴァルが先に帰宅している事を意味していた。

なのに返ってこない返事。

不思議に思い、部屋にヴァルの姿を探す。


「ヴァルー?」


キッチンに姿はない。

別の部屋を探そうとキッチンからリビングに向かい、階段の前に差し掛かり気づいた。

フロアソファで横になっているヴァルの姿。

物音をたてぬ様に近づくと、小さく寝息を立てていた。

その寝顔は、女性だった時と変わらない。

ガウラはヴァルの近くにそっと腰をおろした。

そして、投げ出されている手が目に留まり、そっとその手に触れた。

初めてベッドで一緒に眠った時に触れた手。

その時とは違う感触。


(しっかり男の手なんだな…)


ふと、そんなことを思った。

無意識に手をにぎにぎと触っていると、不意に声がした。


「掌のマッサージかい?」

「ふえっ?!」


声に驚き手を放し声の方を見ると、いつの間にか目を開けてこちらを見ているヴァル。


「お、起きてたのかい?」

「手に感触がしたから」


そう答えてヴァルは体を起こすと、軽く伸びをした。

手を握っていた事に気づかれ、気恥ずかしくなるガウラ。

その様子に小さく笑うヴァル。


「帰ってきたばかりか?」

「え?あ、あぁ」

「じゃあ、シャワー浴びてきな。夕飯温めとく」

「わかった」


そう促すと、ガウラはそそくさと二階へと上がって行ったのだった。





とある冒険者の手記

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