A.夢で見た終末、現実は夢を上回る


ラザハンからバルデシオン分館に救援要請が飛び込んできたと連絡を受け、アリスはガウラと共にメインホールへと赴いた。

状況を聞くと、ラザハン上空は赤く染まり流星が降り注ぎ、異形の魔物が姿を現したのだという。

事態は急を要す。

それを聞いて、アリスはガウラに言った。


「義姉さん、今回は何を言われても着いていきますからね」

「は?何言ってんだい!」

「ヴァルさんからの命令です」

「はあ?!」


アリスが事情を説明する。

ヴァルは枷が外れたことで、白魔法を習得するため着いていけない事。

自分がいない間、アリスにガウラを護る役目を代わりに頼みたいと言ってきたという。


「今、ヘリオは戦いとは関係ない所にいますし、代わりに役目が出来るのは俺しかいないとの事です」


それを聞いたガウラは大きな溜息を吐いた。


「勝手にしろ。怪我だけはするな」

「はい!わかってます」


話が纏まり、暁の血盟一同はイェドリマンへと向かった。

そこに広がっていたのは、夢で見た終末と同じ空。

そして今、被害が出ているのはバナスパティだという。

メンバーは、アリス、ガウラ、エスティニアン、アルフィノと決まり、イェドリマンから船で上陸して、現地へ赴く。

逃げ惑う住民達が目の前で次々と異形の魔物へと姿を変えていく様は、夢で見た終末と異なる点であった。


「もうだめだ!もう終わりだ!」

「怖いよ!怖いよ!」


夢よりも酷い現実の終末は、想像以上の地獄絵図。

その空気に呑まれては護れるモノも護れなくなると、意思を強く持ち、タンクとして道を切り開いていく。

今まで自分に頼み事をしなかったヴァルが頭を下げ、己の役目を頼んできたその期待に応える為に。

そして、義姉を無事に戦場から生還させる為に、剣を振るう。

全ての攻撃を盾で受け止め、隙を見て反撃する。

ガウラからの詩人のサポート、指示などもあり、樹海の奥地まで辿り着く。

そこにいたのは大型の異形の魔物、スヴァーバーヌ。

戦闘時はエーテル視を使っているアリスは、今まで感じていた疑念が確信に変わった。


異形の魔物にはエーテルが存在しない


この生物の構造上有り得ない魔物の姿に、冷や汗が流れる。

そのアリスの様子を見て、ガウラが激を飛ばす。


「余計な事を今は考えるな!戦いに集中しろっ!」


その言葉に、アリスは考えるのは後でも出来ると思いなおし、戦いに意識を集中した。

スヴァーバーヌの攻撃は今までに無いものばかりだった。

絶望の炎をまき散らし、地脈を暴走させ、隕石を降らせる。

何とかその激戦を制し、スヴァーバーヌを倒すと、その体は黒い靄になり消えた。

そして、あとから合流したヤ・シュトラも、異形の魔物にエーテルがないと発言した。

一同は一度、ラザハンへ戻り、終末について話し合うことにした。

そこで、話し合われたのは、古代の終末と現代の終末の相違についてだった。

古代の終末は、イデアが爆発し異形の魔物と変化した。

だが、現代の終末は人が異形の魔物へと変化していた。

その違いは何なのか?

そこで挙げられたのは、古代人と現代人の違いだった。

古代人は今とは比べ物にならないくらいのエーテルを有していた。

それに対して、現代人は世界が分かたれたことにより、エーテルが希薄。

その関係で、違いが出たのだと結論が出た。

そして、スヴァーバーヌがどうやって現れたのか調査することになった。

手分けをしてラザハン中を聞き込みをしていく。

その中で、カルザールという人物が魔物に変化したことが分かった。

その事実を突き止めると、ガウラの表情が険しくなった。

聞けば、初めてイェドリマンについた時に会った人物だということだった。

さらに、カルザールが何故魔物に変化したのかを調べるため、彼の情報を聞き込みをすることになった。

すると、塔が出てから、商売がうまくいかず、そのことで悩んでいたということが分かった。

その情報を共有するべく、皆で集まり再び話し合いが始まる。

結論、絶望が人を異形の魔物にするということが分かった。

それをラザハンの大使とも情報を共有し、住民を集め、不安を取り除くために大使から演説をすることが決まった。

これで、少しは住民達が落ち着けばいいと思っていた矢先、一人の女性が魔物へと変化した。

原因は息子の安否がわからないと言う理由。

母親として、当然の不安。

それが、絶望を生み、女性を魔物へと変化させた。

そこから起こる絶望の連鎖。

恐怖で次から次へと魔物へと変化する者達が続出。

阿鼻叫喚の中、住民を護るため、大使が死亡。

暁の面々も魔物と応戦する。

そんな中、グ・ラハが杖を地面に突き、住民達を正気に戻し、避難を誘導する。

こうして、被害が大きくなる前に事態を治めることができた。


混乱が治まり、アリスはいつか見た夢を思い出していた。

ストルゲーだった時の何も出来なかった歯がゆさ。

だが、今は違う。

この地獄に立ち向かう力が、今の自分にはある。


そんな時、パーラカの方で被害が出ているとの情報が舞い込み、ラザハンに残る者とパーラカに向う者で別れることになった。

アリスはヴァルの事を理由に、再びガウラに着いて行くといい、アルフィノとアリゼーの4人でパーラカに向かったのだった。






とある冒険者の手記

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