A.ヴァレンティオン2023

シーズナルイベント、ヴァレンティオン。

この時期になると、カップルや夫婦、告白をしようと意気込む者達で街は賑わいを見せる。

アリスはいつもの如くヘリオを誘い、ヴァレンティオンのイベント会場へと来ていた。

会場に着くと、やはりと言うべきか見知った顔を見つけ、アリスは声をかけた。


「義姉さん!ヴァルさん!やっぱり2人とも来てたんですね!」

「お!アリスじゃないか!」


そこに居たのは義姉のガウラとヴァル。

2人がパートナーになってから、よくシーズナルイベントは一緒に来ているようだ。


「今回のイベントは何が出来るんです?」

「衣装の配布と、あと過去に出たセレモニーが出来たかな」

「そうなんですね!」

「セレモニーは必須じゃないみたいだよ」


情報を聞き、4人で衣装を貰い早速着替える。

今回の衣装は、なかなかオシャレだった。


「これいいですね!」

「使い勝手は良さそうだな」


感想を述べ、衣装に着替えただけでは面白くないと、セレモニーに挑戦することになった。

アリスとヘリオは過去に挑戦していたこともあり、絆度100%でGREAT評価でクリアができた。

珍しくヘリオが嬉しそうな表情をしていたのが印象的であった。

そして、少ししてセレモニーからガウラ達も戻ってきた。

ヴァルは確か初挑戦だったはずだ。


「おかえりなさい!どうでしt……」


アリスが言いかけて口を噤んだ。

ガウラは苦笑いをしており、ヴァルは今にも誰かを殺さんばかりの殺気を放っていた。


「ど、どうしたんですか?」


恐る恐るアリスが尋ねると、ガウラが答えた。


「実はね、途中で絆がギリギリのところでタイミング悪くモーグリの範囲がヴァルに当たってね。絆度94%だったんだよ」

「あー…」


理由を聞いてアリスも苦笑いする。

ヴァルは余程悔しいのか、一言呟いた。


「あのモーグリ、ポンポン毟り取ってやる……っ」


ドスの効いた声でボソリと呟いた言葉に、本気度を感じる。

それを聞いたガウラが、苦笑いしたままヴァルを宥めた。


「GREAT評価だったんだからいいじゃないか!ただのアトラクションなんだしさ!」

「………」

「結果良ければ全て良し!だろ?」


ガウラにそう言われると、納得するしかないのか、殺気は収まったが、顔は明らかに落ち込んだ表情だ。

こんなに露骨な表情を見るのはアリス達にとっては珍しく見えるが、ガウラが変わらぬ対応をしてる所を見ると、2人きりの時は日常茶飯事の事なのだろうと分かる。

特別な相手だからこそ見せる内面。

それは自分達にも当てはまる事だ。

そんな2人をアリスは微笑ましく思った。


「俺達も、他所から見たらこんな風に微笑ましく見えてるのかな?」

「さぁな」


小さく呟いたアリスの言葉に、ヘリオは短く答えた。

ヴァレンティオン

それは、愛を伝え合うイベント

目の前の2人は、それに相応しい関係を築いているのが分かる瞬間だった。

とある冒険者の手記

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