V.手を出したら許さない

ヴァルとガウラはオールド·シャーレアンに来ていた。

ガウラから聞いた第一世界での話を聞いて、ヴァルがグ·ラハに非礼を詫びたいと言い出したからだった。

目的地に着いた2人は別行動。

待ち合わせ場所はラストスタンドと決め、ガウラは溜まりに溜まったリーヴ券の納品をする。

納品が終わり、ラストスタンドへ向かうと、まだヴァルの姿はなかった。

その代わり、サンクレッドの姿を見つけ、声をかけた。


「サンクレッド」

「よう、ガウラ。久しぶりだな」

「相席しても?」

「もちろん」


サンクレッドの向かいに座り、コーヒーを頼む。


「休暇をとるって聞いたが、調子はどうだ?」

「ボチボチって感じかな。でも、まだまだ気力が湧かなくてね」

「今日はどうしてここに来たんだ?」

「パートナーの用事に着いてきたんだ。リーヴ券の納品もしたかったし」

「なるほどな」


コーヒーが運ばれて来て、ガウラはそれを一口。

サンクレッドは何やらニヤついていた。


「なんだい?ニヤついて」

「いやな、あんたがエタバンするとは思ってなかったからな」

「あー、そういう」

「アリゼーが発狂してたぞ?どんな奴なんだ!ってな」

「ははは…」


その光景が浮かぶようで、ガウラは苦笑いをした。

サンクレッドは頬杖を付いて、ニヤついたまま話を続ける。


「かくいう俺も、あんたがパートナーに選んだ相手に興味がある」

「そんなに興味を持つ様な出来事かい?」

「恋愛なんて興味無いって感じだったあんたが、突然エタバンしたんだ。そりゃ興味も湧くさ」


サンクレッドの言葉に肩をすくめるガウラ。


「それで、どんな奴なんだ?」

「私の知らないところで、ずっと私を護ってくれてた」

「ほう、それを知って惚れたのか?」

「そうでは無いけど…よく分からないんだ」

「よく分からない?」


首を傾げるサンクレッドに、困った様な表情で話す。


「一緒にいて楽しいし、頼もしいし、これからも一緒に居たいとは思うけど、恋愛感情ってのがイマイチよく分からないんだ」

「なるほど。まぁ、悩むのも無理はないさ。恋愛感情なんて人それぞれだしな。一概に“これが正解“ってのはないしな」


サンクレッドは、うーんと難しい顔をしたが、直ぐにイタズラっぼい表情を浮かべ、身を乗り出して言った。


「恋愛感情が分からないなら、俺に乗り換えないか?俺なら恋愛の何たるかを手取り足取り教えてやれるが?」


それを聞いたガウラは呆れた表情を浮かべながらコーヒーを口に運ぶ。


「サンクレッド、冗談でもそういうことは言わない方がいいぞ?」


ガウラがそう言った瞬間、サンクレッドの目の前を、何かが横切り、テーブルの横にあった柱に刺さった。

それは短刀だった。

唖然とするサンクレッドに、ガウラは何食わぬ顔で言う。


「うちのパートナーは過保護でね。私に手を出したら、何をするか分からないんだ」


それを聞いたサンクレッドは「これは相当愛されてるな」と笑い出したのだった。

とある冒険者の手記

FF14、二次創作小説 BL、NL、GL要素有 無断転載禁止

0コメント

  • 1000 / 1000