Another HERA━告白━



注:フレンドさんの小説[if1:記憶があったなら]の続きとして書かせていただきました!
前の話しが気になる方は[注意事項とリンク]にあるサイトリンクからどうぞ!




アリスがヘラと出会って半年が経った。
彼女の事が気になり出してから、アリスの行動は早かった。
連絡先を交換していたこともあり、相手に時間がある時にダンジョンに誘ったり、食事を一緒にしたりと、一緒に過ごす時間を増やしていった。
彼女のことを知る度に、アリスはヘラに惹かれていった。
宝石の様にキラキラと光る金の瞳で見つめられると、心臓が早鐘を打ち、微笑まれれば心臓を鷲掴みにされたかのように胸が苦しくなる。

─彼女を守りたい─

そう思ってしまう程、彼女は儚く見えるのに、冒険者としての実力は自分より遥かに上のヘラを尊敬し、憧れもしている。
でも、それ以上に彼女と一緒に居たいという気持ちが強い事に気が付き、自分は彼女に恋をしてると自覚した。
そして今日、思い切って気持ちを伝えようと決め、ヘラと食事の約束をしたのだが、切り出すタイミングを失っていた。
食事が終わり、店を出た時、ヘラが口を開いた。

「アリスさん。今日、なんか元気ないね?大丈夫?」
「え?そんなことはないけど…」
「そう?それなら、良いのだけれど…、なんか気もそぞろだったから」

心配そうに言われ、アリスは申し訳なくなる。
気持ちを伝えるタイミングに気を取られ、彼女に気を使わせてしまった事を後悔したが、それを引き摺っている時間はなかった。
この後、彼女に予定がある事を思い出し、アリスは勢いに任せた。

「あ、あの、ヘラさん!」
「なに?」

名前を呼ばれ、返事をするヘラの瞳を真っ直ぐ見る。

「俺…俺…」
「?」
「俺!ヘラさんのことが好きです!」

アリスの告白に一瞬キョトンとしたものの、直ぐにヘラは笑顔を返した。

「うん!僕も好きだよ!」

驚きも抵抗もない、“いつもの笑顔“に、アリスは「ん?」となる。
そんなアリスを他所に、ヘラは笑顔のまま言った。

「なんか、改まって言われると照れくさいね!これからも仲良くしようね!」

無邪気な子供の様な笑顔でそう言うと、「それじゃあ、またね!」と彼女は去って行った。
1人取り残されたアリスは唖然としていた。

「…つ、伝わって…ない…」

意を決した告白が“友人“としての気持ちと捉えられたアリスは、しばらくその場から動けなかった。


************


友人としての告白と勘違いされてから1週間。
アリスは決意を新たに、ヘラと待ち合わせをしていた。
あれから、どうしたら恋心を伝えられるのか悩んだ末に、もっと分かりやすく伝えようと結論を出したのだった。

「アリスさん!ごめんね!遅くなっちゃった!」

待ち合わせの時間を少し過ぎた辺りで、走ってくるヘラ。

「固定の攻略が長引くのは仕方ないよ、ただでさえ難易度高いんだから。だから大丈夫!」

笑顔でそう返すと、ヘラは「本当に、ごめんね」と申し訳なさそうに頭を下げた。

「ところで、話があるって言ってたけど…?」
「えっと…」

いざ、話を振られると緊張して言葉が出てこなくなる。
そのアリスの様子を不思議そうに見つめるヘラ。
1度、告白してるんだからと、自分に言い聞かせ、アリスはヘラの瞳を真っ直ぐ見据えた。

「ヘラさんっ!」

名前を呼び、彼女の前に花束を差し出す。

「好きです!エタバン前提で、俺と付き合ってくださいっ!!」
「?!」

花束を差し出した状態で頭を下げての告白。
しばらくの沈黙。
なんの反応も無いことを不思議に思ったアリスは、顔を上げた。
瞳を大きく見開き、驚いた表情で固まっているヘラの姿。

「…ヘラ…さん?」
「っ!!」

声をかけられ、ビクッと体を震わせて我に返ったヘラは、1歩、2歩と後退りをした後、その場を走り去った。

「ヘラさんっ!?」

思わず追いかけようとしたが、“フラれた“と思ったアリスは足を止めた。
フラれた上に追いかけるなんて、女々しすぎる。
アリスはヨロヨロと近くのベンチに腰掛けて項垂れる。

「…終わった…」

そう口にすると、目から溢れ出た涙が、ポタポタと床に落ちる。

「ははっ…フラれて泣くなんて…カッコ悪っ…」

今すぐにでもその場を離れたかったが、大の大人が泣きながら移動する訳にも行かず、涙が落ち着くまでそのままの姿勢でいることにした。
しばらくして、涙が落ち着いてきた頃、「アリスさん」と名前を呼ばれた。
弾かれるように顔を上げると、そこには走り去って行ったはずのヘラが立っていた。

「…ヘラさん…」

なぜ彼女がここにいるのか、どうして戻って来たのかが分からず、言葉を失う。
すると、彼女は一呼吸おいてから口を開いた。

「どうして僕なの?!」
「え?…どうしてって…」
「なんで僕なの?!」

尋ねるヘラの顔は少し怒っているようにも、泣き出しそうにも見えた。
アリスはベンチから立ち上がり、その質問に答えた。

「俺、ヘラさんの事、冒険者として尊敬してるし、憧れてるんだ。一緒にいると楽しいし、ヘラさんの笑顔を見てると幸せな気持ちになるし、もっとヘラさんの事を知りたいって思うし…それに」
「…それに?」
「ヘラさん、綺麗で可愛い…し…」
「っ!!」

アリスは答えてる途中でどんどん恥ずかしくなり、最後の方は声が小さくなった。
だが、その最後の言葉はヘラにとっては予想外の言葉だったようで、彼女も恥ずかしくなった。
顔を真っ赤にし、俯く2人。
長い沈黙が続く。
その沈黙を破ったのはヘラだった。

「その…そんなに、僕のことが…?」
「…うん」
「…僕で…いいの?」
「ヘラさんじゃなきゃ嫌だ…」
「…そっか…」

アリスの返事に、ヘラは「うん…うん…」と自問自答するかのように呟く。
そして、顔を上げ「アリスさん」と彼を呼ぶ。
名前を呼ばれ、アリスも顔を上げた。

「…僕でいいなら…」
「…え?」
「僕でいいなら、よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げられ、今度はアリスの方が固まる。
てっきりフラれたとばかり思っていた彼には、この展開が急展開過ぎて頭がついて行かなかった。

「ほ…本当に?付き合ってくれるの?」
「…うん」

顔を真っ赤にしたまま頷くヘラ。
そこでやっと、状況が理解出来たアリスは、嬉しさが爆発した。

「ヘラさんっ!!ありがとうっ!!」
「ひゃあっ!?」

勢いよくヘラを抱きしめるアリス。
突然のことに、ヘラは短く悲鳴を上げる。

「俺、ヘラさんが安心して頼れるように強くなるよ!」
「わっ、分かった!分かったから!離して!恥ずかしいよ!!」
「あっ、ご、ごめん!!」

慌ててヘラを解放すると、お互いに照れ笑い。

「えっと…、これからは恋人としてよろしく、ね」
「うん!よろしく!」

アリスがヘラに手を差し伸べると、ヘラは照れくさそうにその手を取った。
アリスはぎゅっとヘラの手を握り、満足そうに微笑むと「家まで送るよ」と言い、ヘラは「ありがとう」と返し、2人は手を繋いだまま帰路に着いたのだった。



とある冒険者の手記

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