Another 白蝶草━羞恥心━

ガウラとアリスが同棲を始めて暫く経った頃、ガウラは目のやり場に困っていた。

一緒に住み始めてから気付いたことが原因だった。

それは暑い日の風呂上がりや、木人での訓練の後等、汗をかいたり暑さを感じた時に、アリスが上半身裸の姿になることが多いのだ。

弟のヘリオと住んでいた時は、そんな事がなかっただけに、あまりそういった免疫の無い彼女にとって、アリスの上半身裸の姿は直視出来ないほど恥ずかしいものであった。

今も、恋人であるアリスは風呂上がりで上半身に衣類を纏っていない。

首からタオルを掛けているものの、肌が出ているその姿は、彼女が視線を背けるには充分だった。


「はぁ~良い湯だったぁ~、ガウラも入っといでよ」

「あ、あぁ…」


そう言われ、そそくさと風呂場に逃げる。

風呂から上がる頃には服を着ているだろうと、ゆっくり湯に浸かって出てきたがリビングにいるアリスの姿は、彼女の淡い期待を裏切っていた。


「おいアリス」

「ん?何?」

「服を着ろ!風邪引く!」


眉間に皺を寄せながら苦言を示すと、アリスは笑いながら答えた。


「暑い季節だし大丈夫だよ!」

「そういう問題じゃない!風邪もそうだが、何より目のやり場に困るんだよっ!!」

「目のやり場?」


理解出来ていないアリスに、ガウラは目線を合わせず顔を赤くして答えた。


「お前が上半身裸なのが恥ずかしいんだよっ!」

「へ?」


予想していなかった発言に、キョトンとするアリス。


「だから、服を着ろっ!肌を出すなっ!」

「そっかぁ…暑いけど仕方ないなぁ」


アリスは渋々と言った感じでタンクトップを着用した。


「これなら平気?」

「あぁ」


やっと視線を向けて貰ってホッとするアリス。

それからは、アリスが気を使うようになったのか、上半身裸の姿になる事は少なくなっていった。

そんなある日、ガウラが珍しく家でゆっくりしている時だった。


「ただいま!」と嬉しそうに帰ってきたアリスの姿を見て、ガウラ顔は一瞬で熱を持った。

朝出かけて行った時とは違う装備をしている彼。

その装備はモンクのAF、ウェザード・パシフィストシリーズであった。

上半身の露出度高めの装備である。

思わず目線を逸らすガウラ。

それに気づかない様子で、アリスは嬉々としてガウラの元に歩み寄りながら話しかけた。


「なぁガウラ!モンクの熟練度上げて、やっとこのAFゲットしたんだ!」

「そ、そうかい…」

「この装備カッコイイよなぁ!見てくれよ俺の筋肉!以前に比べて逞しくなったと思わない?」


腕を曲げて力こぶを作る彼を直視出来ない彼女。


「知らないよ、そんなにマジマジと見た事ないし」

「えー?見る機会はいくらでもあったろ?」

「恥ずかしくて直視出来ないんだから、分かるかよ!」

「あ……そうだった」

「その装備も直視出来ないから着替えてこいっ!」

「えーっ!!ちゃんとした装備なのに?!」

「と、に、か、く!家の中でその装備禁止な!恥ずかしいっ!」


ガウラ言葉に、アリスはしゅんとなりながら「カッコイイのになぁ…」と呟きながら着替えをしに行ったのだった。

とある冒険者の手記

FF14、二次創作小説 BL、NL、GL要素有 無断転載禁止

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